<国宝>東寺百合文書展-原本と翻刻で見る古文書の世界-を見に京都府立総合資料館に行ってきました。
東寺百合文書とは、奈良~江戸時代の宗教活動、寺院救済、荘園経営などに関する文書で東寺(教王護国寺)に伝えられていたものだそうです。
現在は京都府が保存のため保有し、国宝に指定されているそうです。
今回は、その文書の現物と、古文書を現在の文章に置き換えて読みやすくする作業(翻刻)を並列展示することによって、どのような文章となり、どのような違いが発生するかが比較してわかる展示となっていました。
古代研究はさっぱりなのですが、記号の意味等、史料と翻刻を合わせて見ると、
「ああ、この書き損じはこのように、書き損じがあったことも併せて表されているのだなあ」
とか、
「和紙の巻物と、切り紙、本の史料の違いも、こうやってちゃんと表されていたんだなあ」
と今まで読み落としていた情報が沢山あったことに気が付いて、とても驚きました。
そして、史料の扱いの難しさや、翻刻のありがたさ、それでも現物をあたってみないとわからないことがあることなど、色々なことが知れて凄く勉強になりました。
紙の種類や、保管の箱なども展示されていて見応えがありました!
展示は3月17日(日)まで、私は残念ながら行けないのですが、列品解説が3月2日(土曜)午後2時からあるそうです。
興味のある方は是非!
(図書館員は利用者さんに史料を紹介する機会もあるので、行ったらとても勉強になると思いました(^^))
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国立国会図書館月報623号に、先日参加した
山室真一先生の講演
「私の図書館巡歴と関西館 ―史料に導かれた連鎖視点への歩み― 山室信一氏の講演から」
が掲載されています。
※私の当日の感想は
こちらです。
文字に起こされたものを拝見して、改めてとても素晴らしいお話を聞かせていただいたなあ、と思いました。
こうして資料が大盤振る舞いされるのは本当にありがたいですヽ(*´∀`)ノ感謝!
昨日に引き続き龍谷大学アバンティ響都ホールにて開催された法情報研究会成果報告
すべての市民のための法情報教育をめざして
~裁判員裁判の時代における刑事司法教育~に参加してきました。
本日はなんとミュージカル!
死刑制度を廃止したノルウェーで広く読まれている、『ゆかいなどろぼうたち』(学研マーケティング1981年)を原作に、罪を犯した人たちを、社会はどのように迎え入れるべきかが物語の中で問われます。
しかし、全体として本当に楽しく、会場からは絶えず笑いが起こっていました。
軽やかに、楽しい雰囲気の中で、罪って何だろう、それを償うって、どういうことだろう、許すって、どういうことだろうといくつもの疑問が浮かんでくる仕掛けになっていて、本当に素晴らしいミュージカルでした。
最初に、日本は厳罰を唱えてばかりいる。
ノルウェーでは、罪を犯した人と、どのように共生するか、その道を模索していると紹介がありました。
私は、日本の刑法の問題点は、犯罪を犯す人間像を高く見積もりすぎていることだと思っています。
彼らは、「罪を罪と知っていて、あえて犯す」故に重い罪を課せられます。
しかし、この劇で描かれているように、自分がやりたいこと、本当の希望や、それを叶える方法を知らない人が大部分なのではないかなあ、と思います。
そういった面で、非常に考えさせられるお話でした。
貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました!
こういったお話に触れる機会が、これから多くあるように心から願います。
龍谷大学アバンティ響都ホールにて開催された法情報研究会成果報告
すべての市民のための法情報教育をめざして
~裁判員裁判の時代における刑事司法教育~に参加してきました。
まず、元法務図書館法務専門官・高山京子さんと桐蔭横浜大学法学部准教授・出口雄一さんに、法務図書館の未整理資料の整理についてお話を伺いました。
これは、2012年に死去された、元最高裁判所判事で刑事法学者の団藤重光先生の蔵書を龍谷大学が受け入れるため、そのプロセスを参考にしたい、また、団藤先生と高山さんが旧知の間柄であったこともあり、そのお話も伺えれば、ということでした。
法図書館の未整理資料とは、現在の赤れんが棟に移転するまでに、明治時代から受け継いだ官公庁の史料や、個人から寄贈された資料が蓄積されて段ボール42箱まで膨らんだものだそうです。
これをどうするかということからお話が始まりました。
最初は「捨ててしまおう」ということだったらしいです(怖!
それを、「お金がなくても整理しよう」ということで、高山さんをはじめ、当時院生であった出口先生達が協力して整理し、目録を作ってまとめたということでした。
おそらく、目録のタイトルだけでも「これはお宝だろう…」というタイトルが並びます。
一例)「徳川裁判事例」「徳川禁令考」編纂資料目録
その際、やはり目録が非常に重要であるということ、ほとんどは本ではなく、文書で、古文書などの専門知識が重要であると痛感したことなど、資料整理の困難さが述べられました。
そして、それはそのまま団藤文庫の整理の困難さにも結び付きます。
団藤文庫は本ももちろんありますが、信書や日記など、やはり保存の難しい資料が多いそうです。
しかし、稀有な法学者でもあった先生の残してくださった資料を整理することは公益であるということで、頑張ってやっていきたいと龍谷大学の方もおっしゃっていました。
その他、高山さんの団藤先生との交流や、優しいお人柄がうかがえるエピソードなどもあり、とても心が温かくなりました。
次に、法情報の教育が、ロースクールの現場でどのように教えられているか、その現状について4名の方の発表がありました。
コーディネーターを成城大学法学部教授・指宿信先生が務められました。
まず、桃山学院大学経営学部教授・山本順一先生から法情報のあり方に関する基調講演がありました。
「法情報教育って、ロースクールで役に立ってるんですかね?」
という疑問点が大きく取り上げられていましたが、法情報の想定範囲(DBの収録内容)の幅の狭さからも、色々問題があるような印象でした。
大阪大学ライブラリアン・門昇さんからは海外のロースクールの様子などもお話がうかがえました。
國學院大學ライブラリアン・村井のり子さんは、ご自身が担当される授業で、実務家の先生と一緒に授業を受け持ち、生徒のモチベーションを高める工夫をされている事例などを伺いました。
なお、やはり実務に身を置いた方が、リーガル・リサーチの重要性を生徒は実感するようで、それをどのように伝えればいいかいいのか、その点で苦心されているとのことでした。
最後に、北星学園大学経済学部教授・齊藤正彰先生からは、ロースクールの法教育では、資料の収集段階にとどまり、それらを整理保存し、出力するというプロセスが欠けているため、情報探索の面白さを理解できないのではないかという問題提起もなされました。
その他、質疑応答では、杏林大学岩隈先生から一般の人向けのプロジェクトとして『
情報管理』でリーガル・リサーチの連載を始められたことが報告されました。(全12回予定)
やはり、ロースクールだけではなく、全ての人に法情報、法情報教育は必要であろうということで企画されたそうです。
その他、『リーガル・リサーチ』(日本評論社)の作者であるいしかわまりこさんもご自身の授業などの感想を述べられ、皆さん、ロースクールや、教育現場での法情報教育には苦労されているご様子でした。
しかし、必ず誰にも必要になる知識だと思うので、頑張っていただきたいです。
私も、自分で出来ることをがんばっていこうと思います!
個人メモ)
ロースクールは司法試験用の勉強をする学校ということで、探す対象となる資料の幅がとても狭いことは、私も勤務時代に感じていました。
出来れば、リサーチ能力を高める課題などが授業の必修科目であるといいと思います。
また、中高での法教育の中にも、法情報へのアクセスが授業の中で盛り込まれるといいなあ、と思いました。
あと、法務図書館が委託業務になっていることについて、司書の専門性と絡めて質問すればよかった…。
法学の知識が無いと、今日のお話(刑事訴訟法が主でした)だけでもかなりきついと思うし、法情報教育が出来る司書の完成形は遠いなあ…とも思いました。
本当に色々な刺激と勇気をいただきました。
ありがとうございました!
(参考)
法務図書館所蔵「未整理図書」の整理と目録の刊行について 高山 京子『びぶろす-Biblos』(2011年11月)
「
研究・実務に役立つ!リーガル・リサーチ入門」『
情報管理』連載
※記事に一部誤りがありました。情報管理の記事に関しては杏林大学岩隈先生からのご紹介でした。訂正の上、お詫び申し上げます。
今日は
京都大学法学部図書室に、『司法法制部季報』を見に行きました。
通常、大学の図書館は、所定の機関カラの紹介が必要です。
(大学などの教育機関に在籍する人はそこの図書館、一般の人は最寄りの公共図書館を通じて申込ます。
※大学によって方法は異なるので、案内を良く読んでください)
しかし、京都大学法学部図書館の場合、一般の人でも事前に自分で申し込むことが出来、とても助かります。
なお、
付属図書館は事前申し込みも不要です。
『司法法制部季報』は法務省が出している年3回発行される機関誌なのですが、法務図書館や法教育、司法改革についてとても読みやすい記事が載っています。
なかなか図書館では所蔵機関が無いので、凄くもったいないなあ…と思ってしまいます。
裁判所にはあると思いますが、裁判所で一般市民が使える図書館は最高裁判所図書館だけなんですよね(…と、以前職員さんに聞きました)
とりあえず、大量にコピーを取りましたので、週末のために予習しようと思います(^▽^)ノ
2月11日は『建国記念日』。
建前上は関係ないことになっていますが、この日に大日本帝国憲法は公布されました。
官報って、法令にとっては
『リアル私が生まれた日の新聞』ですよねw
私も
憲政記念館に行くまで知りませんでした。
大日本帝国憲法は官報号外で公布されたのですが、表紙や中身に箔押し(?)の印がされて輝いていました。日本国憲法はただの
粗末な紙なのに…。
『
国立国会図書館デジタル化資料:官報』は、マイクロフィルムの写真なので、モノクロでちょっとわかりにくいのですが、『
東京大学総合博物館』で公開されている画像なら、少しイメージがわかるかと思います。
大日本帝国憲法さんは本当に大事にされてたな~、と思います。
この他にも、帝国憲法発布には沢山のエピソードがあって楽しいですw
また少しずつ描いていきます(^^)ノ
国立公文書館(つくば分館)に行ってきました!
大審院時代の民事判決原本がつくば分館に保管されています。
『
デジタルアーカイブ』で確認したところ、Webで見ることはできない状態なので行ってきました!
(※すぐに見れるのは公開状態が「公開」「部分公開」のものだけです。
「要審査」または「非公開」となっている資料については
約30日前までに申請が必要です。)
また、資料の大部分はつくば分館で保存されています。
(「概要情報」の欄に「請求番号:分館」とあれば分館所蔵です。)
本館で見ることも可能ですが、1週間前に申請が必要です。
利用案内を見ると大変なのかな~、と思いましたが、実際に行ってみると皆さんとても親切で、助かりました!
利用申請をするとすぐにきれいな閲覧室で資料の閲覧が出来ます。
デジカメで資料を撮影することも出来ます。(複写も依頼すれば出来ます)
館内には資料展示室もあって、展示方法も参考になりました!
人によっては1日いても飽きないと思いますが、
飲食施設が無いため、お弁当が必要です。
また是非行きたいです!
なお、平成25年2月22日(金)~平成25年3月9日(土)大阪大学で、国立公文書館所蔵資料展「
国立公文書館が大阪大学にやってきた」が開催されるので、そちらも楽しみです♪
法学資料として、
『
プロフェッショナル法律Q&A』
『
法、納得!どっとこむ』
という法情報サイトにリンクを張らせていただきました。
どちらも、紛争事例の参考資料の掲載があり、弁護士さんを探して依頼することも出来るようです。
あと、漫画に『司書まんが1~5』を収録しました。
説明文などはそのまま転載しています。
ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです。
よろしくお願いします(^^)ノ
今日は法令の通称、もしくは略称のお話です~。
マスコミなどで報道される際、長すぎる法令は、略されたり、通称を付けて報道されたりします。
たとえば、『日本国憲法の改正手続に関する法律』の通称は『国民投票法』、略称は『憲法改正手続き法』ですね。
(※通称の付け方のルールはありません。イメージが変わったりするので注意すべきかも…。)
なお、通称しかわからない場合、正確な法令名は、総務省提供の『
法令データ提供システム』の『
略称法令名一覧』で調べることができます。
また、国立国会図書館提供の『
日本法令索引』でも、通称名から調べることができます。
さて、ここで『法律擬人化入門(憲法編)』はおしまいです。
近く、『解説六法(仮)』を少し展開して以降と思います。
よろしくお願いします~(^^)ノ
NDL(国立国会図書館)の元館長、長尾真さんをお招きしての勉強会に参加しました。
まずは満席の会場から溢れ出る『長尾Love』オーラに圧倒されましたw
しかし、お話を聴いて納得。
長尾さんが上司なら、ちょっと暴走してもいいよね!てへぺろ☆的な「Youやっちまいなー!」スタンスが素敵でしたv
(精神的には「訴訟になったら後から対応したらええねん。とりあえずやったれ」というGoogleのスタンスに近いかもw)
でもちゃんと、周りを見て、尊重すべきところは手綱を緩めているあたり、凄いわ―。凄いじいちゃんやわー!と圧倒されました(失礼)
さて、内容ですが、大変濃いので詳細はこちらをご参照ください(え)
→【togetter】
KU・京図情合同学習会「『未来の図書館を作るとは』長尾真先生と語る」簡潔に書くと、
①国立国会図書館に行って、まずやったこと
「常識を疑え」と職員に言い、納本制度を再確認させた。→納本漏れが大量にあった。
そこで、『納本の日』を定め、納本率を上げた(しかし、まだ大量に納本漏れがある)
②多様化する資料の収集、電子化とデータの提供に関して
国会図書館は各種資料の電子化、データ収集を進めているが、利用者への提供が著作権の壁に阻まれている。
→一部法律変えたった。もっと変えるべき。
※例)孤児著作物(著作権者が見つからない資料)の取り扱いに関して(著作権法第67条)
③利用者に求められる情報を提供するために
検索技術の精度をシステム、データ、司書のスキル其々の面で上げること、著作権法を変えることが必要。
知は万人のものであり、国内の出版社とケンカしてたらGoogleやAmazonにやられる。
今の著作権は古い。
これらのお話を踏まえて、質疑応答も大変濃ゆかったです…。
印象に残ったものをいくつかあげると、
(※編集しまくってます。こんな話し方はもちろん誰もしてません。スイマセン…)Q1.資料が電子化されることで、情報が断片化してしまうが、それは文学等の連続性を味わうような作品に向いているのか。
→A.読み方は色々。拾い読み用の本もあるし。
電子化が進むと、ゲームみたいにストーリーが選択できる小説も出来るかもしれません。(→会場爆笑)
Q2.司書はこの先どうしたらいいでしょう?
→A.色んな人と仲良くして、スキルアップするといいと思う。
あと情報収集も大事。関西館提供の『
カレントアウェアネス』はとってもイイです!参考になります!!
国会図書館の人は関西に来ると生き生きしてるね!(→会場爆笑)
Q3.組織のTOPとして、どのように指揮をとられましたか?
→A.最初に自分の方針を7,8個言いました。
辞めたので内容は忘れましたが…。終わったことは忘れないと新しいものが入ってこないので…(笑)
自分の方針を理解してもらうため、幹部とよく話しをして、若手の人とも良く話をしました。
etc.
技術面から、人間関係まで、幅広く、時には笑いを提供しつつ回答されるので、とても楽しかったです。
私も質問をしたかったのですが、質問がとても多かったので黙ってました…。
個人的な感想としては、以下の通りです。
①情報の変容とこれからの司書のあるべき姿について
個々人のスキルアップと、情報の共有、利用者とも十分なコミュニケーションをとる能力が求められている。
情報そのものは『本』という形態にこだわることは無い。
『知』を万人のものにする仕組みを作ることが、これからの図書館員の目指すものなのかも知れない。
②著作権について
日本における著作権の運用は歪んでいて、著作者のコントロールから離れた場所で権利問題が論じられている。
法の改正とともに、著作権の目的、利用について、総発信者となりつつある国民全てが学ぶ必要があるように思った。
③『本』の無い図書館という概念に対して
『本』に印字された文字自体は『情報』でしかない。
しかし、情報を媒介する物質としての『本』と、『本』という資料そのものが持つ情報(紙、作り、装丁、インクなど)の保存とは、分けて考える必要があるのではないか。
何から、どのような情報が得られ、それによって保存の形態を柔軟に変えることが必要なのではないかと思った。
後はしみじみ勉強不足だなあ、と…。
日本の図書館は予算も人も貧しい状況ですが、自分なりに出来ることをがんばってやっていこうというパワーをいただきました!
ありがとうございました!!
昨日に引き続き、『日本国憲法の改正手続に関する法律』さんです~。
日本国憲法は確かに1度も改正されていませんが、改正しようという動きはこれまで何度もありました。
大日本帝国憲法の復活論(というか日本国憲法無効論)などもあります。
現在は新聞だけでなく、インターネットでも色んな改正案が読めますので、探してみてください。
なお、社会情勢の変化というのはゆっくりと訪れ、ある日突然転覆することは歴史が教える真実だと思います。
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